2015/02/12

源氏香
















先日,斉藤隆の「古典力」に源氏物語の記述をみつけた.
源氏は若菜から読めばよい,という評論家の言の引用.
興隆を極めた源氏が,斜陽に向かっていくところ.
人間関係の機微が,もっともよく表れているそうな.

あさきゆめみしを読んだだけでは,和歌を含め十分に理解はできない.
まず現代語訳,次に原文と順に触れることができたら,興味を深められそう.

1000年前に書かれた最初の小説にして,最高の小説とはよく言い表したもので,
小説のみならず絵巻や芸術へと与えた影響は計り知れない.
そのうちで特に興味をそそられるのが源氏香.

香りを嗅ぎ当てる遊びで,5回香りを聞いた後にどれとどれが同じ香りか,
もしくは違うのかを縦線と横線で表す.
この組み合わせは52通りあって,異なる記号が現れる.
54巻ある源氏物語の最初と最後,桐壷と夢浮橋を除いた52帖に
それぞれ記号を対応させ,答えは巻名で答える.
あわれや風流といった言葉がこれ以上当てはまる遊びを初めて知った思いがする.

未だこの遊びをしたことはないけれど,
52通りある記号をあしらった手ぬぐいを最近手にいれた.
記号自体の美しさを楽しみつつ,もし巻名と話の内容を対応させて理解できていたら,この手ぬぐいから,どれだけ多くを想い起こすことができるだろうと考える.

ふと,52通りの組み合わせを計算で確かめてみたくなった.
高校のとき以来であるコンビネーション,記憶をたどりながら計算してみた.
当時の人がコンビネーションをたしなんでいたとは思わないから,
書き出して数えていたのだろうか.
それにしても,52を源氏物語と組み合わせるという発想,
非常な美的感覚の持ち主に違いないと思う.

まんがの「あさきゆめみし」はひらがなを並べ替えたいろは歌の一説.

いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす

源氏物語,あさきゆめみし,大変な傑作に居並ぶ面白さが,源氏香にはある.

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