2016/02/29

ワンデーノート








小3の年,ワンデーノートなる宿題があった.一日の記録から,旅の思い出,創作物語まで.とにかくジャンルは問わずに,毎日何かを書く.最初は何を書いたものか悩むものの,習慣になると苦ではなくなってくる.

先生は日々ノートにコメントをくれる.そして”合格シール”を貼ってくれる.ためた合格シールの枚数に応じて,賞状がもらえるごほうび.子どもながらに,シール欲しさにがんばった記憶がある.小中高を通じて,この年が一番思い出に残っている.

しかし,それからは継続できなかった.いつのまにか,書きためたワンデーノートもなくなってしまった.再び書くきっかけに出会うのは,大学1年生のとき.高校生の延長にいた私にとって,大人びてみえた一人の先輩が,あるとき日記を勧めてくれた.

物は試しと,新潮文庫の”マイブック”を手に取る.文庫本サイズで,無地のページに日付だけが振ってある.今その本を開くと,縦書きでびっしり埋まっている.と同時に,空白のページも目に入る.1頁1日で,どうも書く量が多く,負担になってしまったよう.

2年目は,ペイジェムメモリー.反省を活かして1頁2日の日記帳を選んでみる.日記の習慣は定着してきたものの,まだ多さを感じる日々.書店に足を運び,日記帳をひたすら品定めする.大きすぎず,小さすぎず.ようやく選んだのは,博文館の3年連用日記帳.

1頁2日の3段組み.2年目からは,去年の自分が何を書いていたかがわかる.日記を書くメリットの一つは,経験を積み重ねられること.読み返せば,自分の試行錯誤がみてとれる.気持ちの波を,安定する手助けになる.

もう一つ,手書きの効用もある.書く機会の減少で漢字を忘れてしまう今日,日記は身近な対策になる.そして,日記帳を選ぶのが楽しくなればもう習慣になっている.黄緑,水色を選んだ私は,次は紅色を求めるつもり.

私の日記帳のルールは,翌日書くことと,よいこと一つ.一晩寝ると,記憶や考えが整理される.よかったことを書くのは,ネガティブになりすぎない予防線.あとは,特に決まりはない.人に見られるものでもないので,各人に適した方法があるはず.

小3からおよそ17年.7年間の日記習慣で,私の”合格シール”は何枚たまっただろう.当時の先生に再会できたなら,賞状をいただけるだろうか.それとも,まだまだ足りないよ,とおっしゃるだろうか.