地学系に入学した日,自己紹介で「月の石を持ってます」と話す人.「子どもの頃から恐竜が大好きです」と語る人.とても敵わないなあ,と感じていた.自分はどことなく,地球を学ぶことに興味を持っていただけ.
それから7年経って,同期や後輩が就職する中,自分はまだ学生を続けている.就職した同期にはもちろん,自分より地学が好きな人,より研究能力に優れている人がいた.ときには後輩の方が優れていて,ショックを受けることもあった.
好きの程度が上手につながるならば,どうして「大好き」な人が研究を続けないのだろう.しばらく考えているうちに,別の故事を思い出した.
子日く,これを知る者はこれを好む者に如かず,これを好む者はこれを楽しむ者に如かず.高校で習ったのだと思う.論語の雍也篇.
前半部はわかりやすい.物事を理解する人は,それを愛好する人には及ばない.好きこそ物の上手なれ,に近い意味である.後半部はどうか.物事を愛好する人は,それを楽しむ人には及ばない.好きな人が,必ずしも研究を続けない理由がここにあるのかもしれない.
研究をしていると,大抵はうまくいかないことの方が多い.目に見える成果が出るまでに,相当な時間を要することもある.好きを仕事にするか,趣味にするかの分かれ目は,そんなデメリットを含めて楽しめるかどうかに関係しているのかもしれない.
それでは,現在私は研究を楽しんでいるのだろうか.自問すると,半々といったところかもしれない.それでも,7年前の入学した日よりは,地学を理解し,好きになっているのは確か.仕事にできるかどうか,楽しみを見出しつつ,続けてみる.
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